谷口崇の超シュールアニメ

みなさんは谷口崇というアニメーション作家をご存知だろうか。

谷口崇


1985年、福岡県に生まれる。幼少の頃より活発だった彼は、友人の伊藤君と一緒に川の土手などでよく遊んでいた。
昔は今より水が綺麗で、アメンボやフナムシなど自然と触れ合うことができ、充実した毎日を送っていた。
ところがある日、伊藤君が足を滑らせ土手から転落してしまったのだ。
2004年、アニメ制作開始。

アニメーション作家、谷口崇のプロフィールはこう書かれている。
伊藤君と彼との詳しい遍歴は全く持って不必要だが、
僕に言えることはただ一つ、こいつのアニメは見とけ、ということだ。


彼の作品の中でも最高傑作といえるのが「森の安藤」である。
恐らく本人が思いもかけなかった数々の賞を受賞し、海外上映まで決定されている。


このアニメーションは全て谷口崇一人の手で作られている。
アレな絵柄も、奇妙なセリフまわしも、そして歌までもが谷口本人の手によるもの。


最初の熊の顔のどアップと、ハチが連呼するペロペロで持っていかれる。
そして恐ろしいまでのセリフ展開。
最後にはディズニーっぽい歌(歌詞はひどい)が入り、「谷口崇」ばかりの壮大なスタッフロール。
彼はいったいどんな歪んだ情熱を傾けてコイツを作ったのだろうか。
実に計算し尽くされた、現代アートともいえる世界観を構築している。


ネットを舞台とした個人製作アニメはYoutubeニコニコ動画を通して次々と視聴者が増える。
谷口崇という名前を覚えておいて損はなさそうだ。


以下が谷口崇の公式サイト。
他のアニメーションやハードな壁紙も見られるので是非立ち寄ってほしい。
【むっちり村】公式ホームページ 〜森の安藤・おしり前マン・むきだしの光子など〜


しかし最後の人面魚の唄う歌は耳から離れなくて困る。

追悼 鬼塚喜八郎氏


日本を代表する靴メーカーであるアシックス。その創業者である鬼塚喜八郎氏が先日死去した。
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20070930i502.htm?from=main5


戦後の復興期にバスケットシューズを担いで営業したその努力は計り知れないものだろう。
そんな彼の作ったアシックスは世界的に見ても技術的には最高峰にあるといえる。


このアシックスのシューズが現在世界のトップブランドであるナイキを作ったことはあまり知られていない。
ナイキの創業者であるフィル・ナイトはアシックスの前身であるオニツカのシューズを輸入する事業を始めた。
しかし彼らはアシックスと提携し、技術を手に入れたあと提携を一方的に解消。
特許でアシックスから慰謝料まで搾り取り、
その後のCMとコラボレーションの上手さでトップブランドに成長する。
しかしナイキの礎は鬼塚氏が築いたようなものといっても過言ではないだろう。


鬼塚氏のシューズ界における功績はそれだけではない。
不仲の兄弟がそれぞれ作ったアディダスとプーマ。
この二社をどうにか仲介したのが鬼塚氏なのである。
今のスニーカー業界、もといスポーツブランドは鬼塚氏なくしては
成り立たなかったと言っても過言ではないだろう。
このあたりのスポーツブランド戦争は以下の本に詳しい。
知識的にも企業戦略的にも目から鱗なのでおすすめである。

アディダスVSプーマ もうひとつの代理戦争

アディダスVSプーマ もうひとつの代理戦争

スポーツブランドイメージだったアシックスも創業者の名を冠したかつてのブランド名「オニツカタイガー
を復活させてからはかなりファッショナブルなスニーカーラインが増えた。
ヨーロッパでは永遠の宿敵、ナイキよりも評判は良いようだ。
まさに日本を代表するシューズブランドに成長したといっていいだろう。
今冬のホリデーラインもかなり魅力的なので有名ブランドに飽きた人は是非チェックしてみてほしい。


何はともあれ戦後の混乱期をスポーツ文化とともに駆け抜け
素晴らしい功績を残した鬼塚喜八郎氏。
アシックスのスパイクを愛用するイチローもその訃報にショックを受けていたようで。


いちスニーカー好きとして心からのお礼と共にご冥福をお祈りいたします。

対談 湯山玲子×梅川良満



日大藝術学部の江古田校舎でジャーナリズム論2の講義として開かれた対談を聴いてきた。
写真家の梅川良光を講師である湯山玲子が招く形で行われた。
梅川良光はSTUDIOVOICEやSWITCHなどのサブカル・アート雑誌で活躍し、
グラフィックデザイナーとのコラボレーションプロジェクトを数多くこなしてきたアーティストである。
ミュージシャンや女優から、アングラヒップホップ畑の人々までをディレクションする。
雑誌用のポートレートとアート作品を横断するような作風と言えるだろう。


対談は終始湯山玲子が質問し、梅川良満が答えるような形態となった。
梅川氏はやはり感覚系の人なので、いまいち喋りは要領を得ないなあといった感じ。
しかし、湯山氏はさすがといったところで、そんな中相当巧みに梅川氏の言葉を導きだしていた。


BEAMSでおこなわれた梅川氏の最新の写真展の紹介。
そしてSWITCH編集者時代の湯山氏と梅川氏の逸話を
クレイジーケンバンドの横山ケンの特集号をピックアップして紹介。
かなりギラついた、しかしどこか日常の延長線上にあるような、一種背伸び感を感じられる印象的な画。
宇川直宏アートディレクションを思い出させる。実際二人はコラボもしているし、プライベートでも仲が良さそう。
また、このように雑誌の仕事という極めてシビアな現場を経験していることが、
梅川氏の写真のインパクトと同時にある普遍性の源でもあるように思えた。



梅川氏は写真展で使う写真を選ぶときに重視するのが構図のようで、
梅川氏の写真で一番トガっていると思われる構図の秀逸さを自身でもよく分かっているようだ。
また、梅川氏曰く写真を選ぶ行為はDJをするときにレコードを選ぶ感覚と似ているという。
自身でDJ活動を行う梅川氏らしい意見だが、これを湯山氏は印象的にまとめた。
湯山氏によるとDJというのはつまるところ編集行為であり、
強力な編集能力を有することが重要になってきているという現代のアートシーンで生き残る強さでもある。
梅川氏はグラフィックデザイナーと沢山のコラボレートプロジェクトを行ってきているが、
それでもなお「梅川良満の写真」であるのは彼の持つ編集能力の高さがカギとなっているという。


現在のアートシーン、つまりは商業主義と密接に結びついたシーンを読み解くには
コラボレーションの向こう側にあるアーティストの編集手法を汲み取ることが重要になる。
梅川良満の写真の強烈なインパクトは、彼の確かな編集(広い意味での)経験に裏打ちされたもののようだ。

GTAの面白さはゲーム本来の面白さ

いまさらながらの話題だけれども、グランド・セフト・オート・サンアンドレス(GTA・SA)のPS2版をちらちらやっている。
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一般人ブチ殺し放題、娼婦買い放題、車爆破させ放題ととりあえず何でもありなGTAシリーズ。
有害図書指定を受けたり、教育委員会にやり玉にあげられたりととにかく悪ゲーのレッテルを貼られまくっているGTAシリーズ。
しかし、ただその暴力性や反社会性だけで世界累計で6000万本のゲームシリーズにはなり得ない。
それは純粋に面白いゲームだからである。


では通行人をチェーンソーでぶった切ったり、ギャングを火炎放射器で丸焼きにするのが面白いのかというとそうではない。
それが出来るほどに作り込まれた世界に入り込むのが面白いのである。
GTAの世界ではごく普通に車を運転して夕焼けを眺めることもできるし、BMXで技を決めることもできる。
本来「はい」か「いいえ」しかなかった選択肢がこのゲームでは無数にあるということの面白さなのだ。


GTAをやるとさすがアメリカ、エンターテイメントあふれるゲームは本当に上手いなあと感じる。
けれども昔セガから出ていた「シェンムー」も似たように自由度を売りにしたゲームだった。
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しかしまあ続編も音沙汰なく、こういうゲームの市場を育てられなかった時点で日本のゲーム業界の現状は仕方なかったのかも。
結局今の業界もDS以外は特に売れてる様子もなし。とりあえず日本はRPG作り過ぎ。剣と魔法もいい加減食傷気味です。